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技術ブログ
統計検定1級 合格記
2019年11月24日に行われた統計検定1級で、統計数理と統計応用(理工学)の両分野で合格をいただけました。このブログには僕がその合格までに行ったこととその振り返りを書き連ねておこうと思います。
もくじ
統計検定1級を受けようと思った理由
僕がこの統計検定1級を受けようと思った理由は僕の興味対象となる研究分野が確率統計だったからです。現在僕は大学の学部3年で、4年で配属される研究室が主に統計の分野を研究しており一度基礎固めをしておきたかったと考えました。また、大学の授業で学んだ確率統計の知識を何かしらの形でアウトプットしておきたいと考え、その1つとしてこの資格を選びました。
申し込む前の学習状況
申込みを行う前に、既に大学で確率統計の授業を履修していました。レベルとしては統計検定2級ぐらいの内容+αを学んでいました。しかし、「この確率分布の名前は聞いたことあるけど、どんな形の密度関数だっけ」とか「この統計量に対しては何の検定をすればいいんだっけ」とか、かなり知識としては曖昧でした。実際の学習も基礎の復習からはじめました。
確率統計以外の分野では、線形代数や微積分の基礎数学についても一通り大学で学んでいました。特に積分計算は試験に必要だと思います。その他の基礎数学は学習して詰まったときに、その都度調べて思い出せるぐらいで大丈夫だと思います。(ある程度慣れておく必要はあると思います)
申し込み
統計検定を受けようと思ったのは8月頃で、実際に申し込んだのは9月の中旬です。申し込み時点では本格的に学習はしておらず、「そろそろ始めなきゃな...」ぐらいの気持ちでした。
統計検定1級は他の級とは少し異なり、「統計数理」と「統計応用」の2つの試験に分かれています。基本的には午前に統計数理、午後に統計応用(片方だけ受験することも可能)を受験することになるのですが、統計応用は人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学の4分野から1分野を申し込みの時点で選択して受験します。僕は統計数理で学習した内容がそのまま応用できる問題が多いとされる理工学の分野を選択しました。このときは「勉強する量が少なく済んでラッキー」ぐらいの気持ちでしたが、この選択によって後で痛い目に遭います...
本番までに行った学習
申し込んでから試験日までは日本統計学会が出版している公式のテキストと過去問題集を使って学習を進めていきました。また、公式のテキストは出題される内容が網羅されていますが、詳細な証明や練習問題があまりなかったので、それを補う形で数理統計の教科書を一緒に読み進めました。基本的には公式のテキストを1から読み進めていき、必要に応じて教科書で証明や練習問題を補っていきました。学習がある程度進んだ段階で過去問題を大問ごとに解きました。過去問題でわからなかった部分をもう一度公式のテキストや教科書に戻って復習するというサイクルで勉強を進めました。
統計数理の具体的な学習内容としては、それぞれの確率分布に対して期待値・分散・モーメント母関数はすべて一度自分の手で導出しました。また、確率分布同士の関係性(極限をとることで二項分布→ポアソン分布、など)や確率変数の変換なども一通り目を通しました。これらは統計数理の問題を解く上でかなり重要だと思います。僕は学習のはじめにこれらを行い、ある程度分かった時点ですぐに過去問題に取り組んだことが理解を進めるのに役立ったと感じています。
統計応用の対策としてはあまり時間は取れませんでしたが、自分の得意なもの・興味のあるものを中心に学習しました。応用では様々な内容が出題されるのですべてを学習するのは難しいと思います。なのである程度自分の得意な分野を作って、それを得点源にしようと考えました。僕の場合は生存時間解析についてある程度知見があったので、その復習を行いました。時間が合えば他の分野も出来たと思いますが...
学習の総時間としてはだいたい40~50時間程度でした。過去問題も2018年~2016年までは統計数理と統計応用の両方を全問解きました。学習の進度としてはあまり学習時間が取れず、応用の内容すべてまでは手が回りませんでした。ある程度数理の内容でカバーできるとはいえ、これはかなりの悪手だったと今では反省しています...
試験本番
あまり準備ができていない状態で本番に臨みました...が、やるしかありません。統計数理と統計応用はそれぞれ5題出題されその中から3題を選ぶので、問題選択が重要になってきます。
統計数理
本番では統計的仮説検定はあまり自信がなかったので大問1,2,3を選びました。例年と比べて誘導が丁寧だったので解きやすかったと感じました。自分がした統計数理の対策がうまく効いたと思います。3の順序統計量の扱いには苦戦しましたが、どうにか7割ぐらいは取れたと確信しました。
統計応用(理工学)
問題の統計応用です。「なるべく数理の問題を解こう」......
ない。
いつもはある数理の問題が1問も見当たらない。例年と比べて大きく傾向が変わっています。いや、あるにはあるけど分散分析や適合度検定まで学習の手が回っていない!!死を確信しました。
とりあえずできそうなものから手をつけよう。1,2,5を選択しました。幸いにも生存時間解析はある程度やっていたので1で7割ぐらいは出来たと思います。しかし2,5は見たことのないトピック&苦手な分野なので、おそらく半分もできていないと思います...
そんな感じで午後にメンタルをやられた1日でした。
試験までを振り返って
そんな感じでドキドキな結果発表でしたが、驚いたことに数理と応用の2つで合格を頂けました。おそらく理工学は傾向が大きく変わり、全体の平均点が下がったからだと思います。僕の場合は得意な分野で得点を稼ぐことができたのでなんとか合格にこぎつけることができたのだと思います。
やはり試験合格までにはもう少し時間をかけて、応用的な分野まで一通り目を通して、傾向が変わっても得点を稼ぐ力を身につけることが重要だと感じました。合格したことにはしたのですが、逆にまだまだ勉強不足だと感じた試験でもありました。
一方で、統計数理の分野の基礎固めは試験合格のための必要条件だと思いました。これを突破しないことには数理と応用のどちらの分野でも合格は厳しいと思います。学習のはじめにここに注力したのは正解だったなと感じます。
以上が僕の統計検定1級の合格記です。正直運もありましたが、自分の確率統計の基礎固めとして良い経験となったかなと思います。この記事がこれから統計検定を受ける方々の参考になればと思います。
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