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統計検定 数理 2019 問2 解答

2019.11.28 久保 大亮
統計学
統計検定 数理 2019 問2 解答

問1に続いて問2です。 同じくご指摘があればコメントをお願いします。


[1]\(U\)の期待値\(E[U]\)を求めよ。

\begin{equation} E[U] = E[X_1+X_2] = E[X_1]+E[X_2] \ (\because X_1, X_2は互いに独立) \end{equation} 今、\(X_i\)(\(i=1, 2\))について、
\begin{eqnarray*} E[X_i] &=& \int_0^\infty x_i f(x_i) dx_i \\ &=& \int_0^\infty x_i \lambda \mathrm{e}^{-\lambda x_i} dx_i \\ &=& \left[ x_i\mathrm{e}^{-\lambda x_i} \right]_0^\infty + \int_0^\infty \mathrm{e}^{-\lambda x_i} dx_i\\ &=& \left[-\frac{1}{\lambda}\mathrm{e}^{-\lambda x_i} \right]_0^\infty \\ &=& \frac{1}{\lambda} \end{eqnarray*} であるので、結局 \begin{equation} E[U] = \frac{1}{\lambda} + \frac{1}{\lambda} = \frac{2}{\lambda} \end{equation}
[2]\(U\)の確率密度関数\(g(u)\)を求めよ

まず\(U\)の積率母関数\(M_U(t)\)を求める。
\begin{equation} M_U(t) = M_{X_1+X_2}(t) = M_{X_1}(t)M_{X_2}(t) \ (\because X_1, X_2は互いに独立) \end{equation} であり、\(M_{X_i}(t)\)について、
\begin{eqnarray*} M_{X_i}(t) = E[\mathrm{e}^{t X_i}] &=& \int_0^\infty \mathrm{e}^{t x_i}\lambda \mathrm{e}^{-\lambda x_i} dx_i \\ &=& \lambda \int_0^\infty \mathrm{e}^{(t-\lambda)x_i}dx_i\\ &=& \lambda \left[ \frac{1}{t-\lambda} \mathrm{e}^{(t-\lambda)x_i} \right]_0^\infty\\ &=&\frac{\lambda}{\lambda - t}\ (\lambda > t) \end{eqnarray*} \begin{equation} \therefore M_U(t) = \left( \frac{\lambda}{\lambda - t}\right)^2 = \left( \frac{1}{1 - \frac{t}{\lambda}} \right)^2 \end{equation} これはパラメータ(2, \(\frac{1}{\lambda}\))のガンマ分布の積率母関数に一致する。積率母関数と確率密度関数の一対一対応性から、\(U\)の確率密度関数は、
\begin{equation} g(u) = \frac{{\lambda}^2}{\Gamma(2)}u^{2-1}\mathrm{e}^{-\lambda u} = {\lambda}^2 u\mathrm{e}^{-\lambda u}\ (\because \Gamma(2)=1! ) \end{equation} [3]期待値\(E[\frac{1}{U}]\)を求めよ。

\begin{eqnarray*} E\left[ \frac{1}{U} \right] &=& \int_0^\infty \frac{1}{u} g(u)du \\ &=& \int_0^\infty {\lambda}^2 \mathrm{e}^{-\lambda u}\\ &=& {\lambda}^2 \left[ -\frac{1}{\lambda} \mathrm{e}^{-\lambda u} \right]_0^\infty \\ &=& \lambda \end{eqnarray*}
[4]\(\alpha\)を正の定数とし、パラメータ\(\theta=\frac{1}{\lambda}\)を\(\alpha \bar{X}\)で推定する。その時の損失関数を
\begin{equation} L(\alpha\bar{X}, \theta) = \frac{\alpha\bar{X}}{\theta}+ \frac{\theta}{\alpha\bar{X}}-2 \end{equation} として期待値\(R(\alpha, \theta) = E[L(\alpha\bar{X}, \theta)]\)を導出し、\(R(\alpha, \theta)\)が最小となる\(\alpha\)の値を求めよ。

問題文の定義及び、[1][3]の結果から、 \begin{eqnarray*} E[L(\alpha\bar{X}, \theta)] &=& E \left[ \frac{\alpha\bar{X}}{\theta}+ \frac{\theta}{\alpha\bar{X}}-2 \right]\\ &=& \frac{\alpha}{\theta}E[\bar{X}] + \frac{\theta}{\alpha}E \left[\frac{1}{\bar{X}} \right] -2\\ &=& \lambda\alpha E \left[ \frac{U}{2} \right] + \frac{1}{\lambda\alpha}E \left[ \frac{2}{U} \right]-2\\ &=& \frac{\lambda\alpha}{2} E[U] + \frac{2}{\lambda\alpha}E \left[ \frac{1}{U} \right]-2\\ &=& \frac{\lambda\alpha}{2}\frac{2}{\lambda} + \frac{2}{\lambda\alpha}\lambda - 2\\ &=& \alpha + \frac{2}{\alpha} -2 \end{eqnarray*} となる。ここで\(R(\alpha, \theta)\)が最小となる\(\alpha\)の値を求めるために、上式を\(\alpha\)で微分したもの=0を解くと、 \begin{equation} 1-\frac{2}{{\alpha}^2} = 0\\ \therefore \alpha = \sqrt{2} \ (\because \alpha >0) \end{equation}


以上です。
普段は機械学習がメインなので機械学習でやってみたブログや理論、論文解説をおこなっています。
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本記事や他の情報が役に立つことを祈って、問3の解説も作成していきます。

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