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AIで変わる障害対応―CloudWatch Investigations入門

2026.08.27 清川 円
SRE
AIで変わる障害対応―CloudWatch Investigations入門

目次

  1. はじめに:障害対応の現場で起きている課題
  2. AIが一次調査を肩代わりする
  3. 実務に組み込むための検討ポイント
  4. まとめ:AIと共同の障害対応で改善のサイクルへ
  5. 出典


1. はじめに:障害対応の現場で起きている課題

深夜や休日に届くアラート通知。
慌ててPCを開き、メトリクス、ログ、デプロイ履歴のタブを行き来しながら、頭の中で突き合わせていく作業は、時間的にも精神的にも大きな負担です。また、素早い対応が必要な場面では「まずここを見る」という勘どころや経験値が必要で、特定のベテランエンジニアに負担が偏りがちです。

「うちは回っているから大丈夫」。そう思いつつも「あの人がいなくなったら回らない」という不安を抱える現場は多いのではないでしょうか。これは誰かのせいではなく、運用を守る責任が大きいほど改善やドキュメント化の時間が削られる、という構造的な問題です。

これを変えるのがSRE(Site Reliability Engineering)です。SREでは、運用を設計・自動化して属人化を解消するとともに、そもそも障害が発生しない仕組みを整えることを目指します。これにより、運用の負荷を下げ、運用代行のような払い続けるコストを減らしていくことができます。


そして今、AIサービスの充実によりSREを始めるハードルは大きく下がっています。
本記事では、その第一歩として、一次調査をAIに任せられるAmazon CloudWatch Investigationsをご紹介します。



2. AIが一次調査を肩代わりする

CloudWatch Investigationsは、生成AIエージェントがシステムの異常を探索し、原因候補を提示することで根本原因の特定を支援し、修復手順まで提案するサービスです。これまで人が手作業でやっていた一次調査をAIが肩代わりします。具体的には、次の4つの機能があります。

  • テレメトリの一括スキャン:指定した異常を起点に、メトリクス・ログ・変更履歴を横断で自動収集し、複数リソースが関わる場合は依存関係を視覚的に整理します。

  • 原因特定の支援:AIが提示する観察(事実)と提案を、人が採用・却下しながら仮説を詰めていきます。この採否の履歴が残るため、日常業務の中でノウハウが自然と蓄積され、ベテランの判断履歴をお手本にして他のメンバーが対応することも可能です。

  • cw-investigations-1.webp

    画面イメージ(出典:AWS News Blogより改変)



  • 修復手順の提案:原因が判明すると、AWS Systems Managerのランブック(復旧手順)を候補として示します。実行前に影響範囲をプレビューでき、安全を確認したうえで実行できます(*実行にはSystems Manager Automationの利用料が発生します)。

  • ポストモーテムの支援:調査後、タイムラインや対応内容、再発防止策を含むインシデントレポートの下書きを数分で作成し、ポストモーテム(事後の振り返りと再発防止策の検討)の負荷を軽減します。


その効果は劇的であり、Amazon Kindleではサポートエンジニアの課題解決が65〜80%高速化、Amazon Musicではオンコール中の調査自動化により解決速度が2倍になったと報告されています(AIOps | Amazon CloudWatch)。


3. 実務に組み込むための検討ポイント

これだけの効果があると、導入が大変では?と身構えるかもしれませんが、始めるための設定はシンプルです。
調査グループ(Investigation Group)を作り、保持期間や暗号化などの基本設定をするだけ。エージェントのインストールもインフラ改修も要りません。

そのうえで、AIの実力を最大限に引き出すには設計・調整したいポイントがあります。実務に組み込む際の検討事項を以下の表にまとめました。

cw-investigations-2.webp

全体を見ると「やっぱり大変そう...」と感じるかもしれません。ですが、これは一度作ればずっと効き続ける仕組みづくり。一気にすべて自社で終える必要はありません。

権限・セキュリティ設計や自動復旧の構築など、専門知識が必要な工程はプロに任せることで、確実かつスピード感をもって進められます。自社のリソースに合わせてプロのノウハウを上手く活用しながら、着実に進めていくのがおすすめです。

4. まとめ:AIと共同の障害対応で改善のサイクルへ

AIが担える範囲が広がったことで、システムの運用は「常駐して見張る仕事」から「一度きちんと設計する仕事」へと変わりつつあります。
CloudWatch Investigationsは、その変化を比較的少ないコストで体感できるサービスです。これまで属人的だった作業をAIに渡し、人は改善の設計と判断に集中する。その第一歩として最もおすすめできるものの一つです。

とはいえ、AIの権限設計、監視基盤の整備、社内フローの調整を、日々の業務に追われるなかで進めるのは簡単ではありません。

  • AIを活用したSREに興味はあるが、検証や設計の時間が取れない
  • AIサービスの知見がなく、何が正解か分からず不安だ/判断できない
  • まずは自社の運用の悩みを、雑談ベースで聞いてほしい


こうしたお悩みがあれば、私たちアクセルユニバースにお気軽にご相談ください。

私たちのSRE支援は、障害対応の件数に応じてコストが膨らむ従来の運用代行とは異なります。運用を仕組み化・構造化して提供するため費用を見通しやすく、社内の自走化が進むほど外注費用は自然と縮小していきます。
まずは一度の相談から、「運用の負荷を下げて、空いた時間を次の改善にまわしていく」理想的なサイクルを一緒に作っていきませんか?

▶お問い合わせはこちら

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なお、本記事のCloudWatch Investigationsは、AIを活用したSRE全体像でご紹介したサービスのひとつにあたります。
弊社ブログ「守る運用に改善するSREを。AIエージェントで効率的なSREの実践方法」もあわせてご覧ください。


5. 出典

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