DEVELOPER’s BLOG

技術ブログ

AIはコロナウイルスに対抗できるか?

2020.04.10 竹中 涼香
コラム 利用事例 機械学習
AIはコロナウイルスに対抗できるか?

世界で猛威を振るうコロナウイルスの抑制に向けて、AI・機械学習はどのような貢献ができるでしょうか。

政府、研究者、保健機関を支援するための早期警告、および検出アルゴリズム、患者の旅行履歴に基づく分析、そして最終的にはコロナウイルスワクチンの作成および開発まで、AIはおそらく鍵となるテクノロジーになるでしょう。今回はAI・機械学習での貢献にチャレンジしている事例を紹介します。


機械学習によるウイルスの検出と追跡

たとえば、カナダに本拠を置く病気の分散予測プラットフォームBlueDotが実際にコロナウイルスの発生を特定したのは、米国疾病対策センターからの公式警告があった5日前の 2019年12月31日でした。BlueDotのアルゴリズムは、自然言語処理と機械学習を使用して、65か国語のニュースレポートを、航空会社のフライトデータと動物の病気の発生レポートとともに分析します。システムはこれらのレポートをふるいにかけることにより、感染した住民がどこに、いつ移動する可能性が高いかを特定し、ウイルスが武漢からバンコク、ソウル、台北、東京に広がるのではないかと予測しました。

機械学習は、コロナウイルス曝露の可能性について旅行者をスクリーニングするためにも利用されています。
マレーシアの電子サービス会社MY EG Services Berhadは、中国の旅行会社であるPhoenix Travel Worldwideとともに、入国しようとしている中国観光客ががコロナウイルスに曝された可能性があるか、またはその危険性があるかどうか判断するため、AIがリスクを分析するソリューションを展開しています。このソリューションの機械学習アルゴリズムは、いくつかのデータポイント(以前いた場所、心拍数、血圧など)を利用して分析・予測をしています。


治療計画の作成

ウイルスの追跡以外にも、AIはワクチンの開発や治療に利用されています。
Insilico Medicineは、香港に本拠を置くAIを活用した創薬会社で、コロナウイルスと戦うことができる可能性がある分子化合物を無料公開しています。このテクノロジーは機械学習を使用して特定の分子の特性とそれらがウイルスと相互作用する方法を分析しています。結果に対して薬学者からのフィードバックを求め、ワクチン開発機関の短縮に貢献することを目指しています。


おわりに

貢献の成果が出るのはこれからかと思いますが、複数のソリューションがスピード感を持って開発されています。中国で話題になった「マスクマップ」に続くソリューションが今後も生み出されていくでしょう。

KaggleやSIGNATEでもコロナウイルス分析へのコンペが開催されています。当社インターンでも結果を公開できるように進めています。


Twitter・Facebookで定期的に情報発信しています!

関連記事

技術だけでは足りない!SRE文化を現場に根付かせるための実践的ステップ

はじめに SRE文化が根付かない典型的な失敗パターン "失敗から学ぶ成功への実践的ステップ 文化定着を支えるアプローチ まとめ 1. はじめに SRE(Site Reliability Engineering)は、可用性やスケーラビリティを技術的に高めるだけでなく、組織全体の文化にも大きな変革をもたらすアプローチです。しかし、理論やツールが理解されていても、いざ現場に導入しようとすると「思ったよりうまくいかない」と感じるケースは少な

記事詳細
技術だけでは足りない!SRE文化を現場に根付かせるための実践的ステップ
SRE コラム

動いてはいるけど、本当に大丈夫? クラウド運用に潜む「よくある違和感」 "健康診断"は現状把握のための第一歩 今すぐ始められる「クラウド最適化チェックシート」とは? 放置せず、今から変えられること まとめ:安心の第一歩は"自分の現状を知る"ことから 1.動いてはいるけど、本当に大丈夫? システムは動いている。アラートも出ていないし、大きな障害も起きていない。 でも、「このままで、本当に大丈夫なのだろうか?」そう感

記事詳細
"今は安定している"に潜む見えないリスク:あなたのクラウド、健康ですか?
SRE コラム
見落とされがちなSREツールチェーンの落とし穴

はじめに よくあるツールチェーンの失敗例 なぜツールが機能しないのか?本質的な原因を探る ツールを活かすための設計と運用のポイント 技術的アプローチ:閾値設計・連携基盤・OSSと商用の使い分け まとめ 1.はじめに SREの実践を支える基盤として、モニタリング、アラート、CI/CD、自動化といったツールチェーンの整備は欠かせません。しかし、「最新の監視ツールを導入した」「CIパイプラインを構築した」といった形式的な整備を終えても、

記事詳細
見落とされがちなSREツールチェーンの落とし穴
SRE コラム
オンプレからクラウドへのSRE移行:落とし穴と回避策

はじめに:なぜクラウド移行後に運用が不安定になるのか? 静的設計のままではスケーラビリティが活かせない 自動化なき運用は信頼性を損なう 見えないものは守れない:可観測性の再設計 金融業界におけるSRE導入の典型例:運用課題からの脱却 セキュリティとコスト最適化:持続可能なクラウド運用のために まとめ:SREによる運用再設計がクラウド成功の鍵 1.はじめに:なぜクラウド移行後に運用が不安定になるのか? 多くの企業がクラウド化を進

記事詳細
オンプレからクラウドへのSRE移行:落とし穴と回避策
SRE コラム

お問い合わせはこちらから