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海外機械学習事例|顧客満足度向上のための品質改善方法

2020.03.05 竹中 涼香
利用事例 機械学習
海外機械学習事例|顧客満足度向上のための品質改善方法

「思っていたよりいい!」
購入した商品を使ったとき、こう思えると嬉しいですね。

重要なことは『思っていたより』という点で、私たち提供者は常にお客様の期待を超えていかねばなりません。
驚きと喜びが両立して初めて感動が生まれ、リピーター、そしてファンになってもらえるのだと思います。

そんな『いい!』と思ってもらうための重要な要素である品質。
今回はAI・機械学習を活用して品質を向上し、高品質を保つ事例をご紹介します。


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品​​質向上のための機械学習活用

機械学習が、機器を適切に動作させ、材料または工程順序の変更が製造内容に影響しないようにすることで、製造者がより良い製造工程と品質を保つことを手助けします。

まず、製造機器に取り付けられたセンサーで、信号を収集、監視し、機械の動作データと温度、相対湿度、その他の環境データなどの周囲のセンサーデータの両方を追跡できます。
次に、機械学習を使用して、この過去データとリアルタイムプロセスデータを比較します。品質に影響する条件が検出された場合、製造完了前に修正が可能です。

1日あたり5,000万回以上の溶接をする、ある自動車メーカーでは、低品質な溶接に気付き一定の品質を保つためにシステムが活用されています。
品質の低い溶接を発見した際には、溶接をやり直し、部品を完全に廃棄し、部品をキューに戻す時間のロスと金額のコストを削減しており、
各溶接ロボットからは、トルク、電流、モーターの1分あたりの回転数、アーク時間、および供給されたワイヤの太さを測定する信号を含む15の信号が収集されています。
同社は既知の高品質な溶接の信号をロボットからリアルタイムで取得するデータ信号と比較することで、溶接品質の良し悪しをリアルタイムで検出できます。

機械学習は、新しい異常を検出するためにも使用されます。異常はシステムにフィードバックされ、アルゴリズムを改良および改善します。
最終結果として、不良溶接の検出率は98%になり、再溶接が必要な溶接数の5倍減少しました。手動ではできなかった検知・分析によりコストと時間の両方が大幅に節約されています。


機械学習による品質基準チェック

品質基準を満たしていることを保証するためにもAI・機械学習は活用されています。

通常、製品の目視検査は、生産中または完成後に行われます。以前は人間が検査していましたがやはり疲労や速度に限界がありました。
また、人間には健康状態(アレルギー、病気、ストレスによる視力低下、白内障、黄斑変性、円錐角膜などの検出されない状態など)の悪い時があり、それが目視検査に影響を与える可能性があります。
マシンビジョンと機械学習を活用することで、機械と人間が適切に役割分担をし、製品検査工程の効率、精度、再現性の向上が実現します。

Landing.AIは、Google Brainの開発を率いた著名な機械学習エキスパートであるAndrew Ngによって設立された新しい会社です。
マシンビジョン、オブジェクト識別、および機械学習を組み込み、AIを業務の工程に統合できるようにしています。
以前の目視検査システムは、全ての欠陥を確実に認識するために約100万枚の画像データでトレーニングする必要がありました。新たなLanding.AIのシステムは5つの製品画像のみをレビューした後に欠陥のパターンを認識することができます。Landing.AIのディープラーニングは部品の検査に0.5秒で済み、多くの場合人間よりも正確だと言われています。

機械学習での画像認識に必要なデータ量と時間を削減するもう1つの例に富士通研究所の事例があります。
今までは、製造ラインや部品を変更する場合、検査システムも改訂して、画像データのデータベースが最新であることを確認する必要がありましたが、同社の既存の画像認識システムプログラムの目標と目的は事前に設定されていましたが、新しい製造ラインを開始する際にに使用できる画像データの量は限られていました。
富士通は、システムをテンプレート化して画像認識アプリケーションを構成する、学習プロセスを高速化する専門の遺伝的プログラミングに注目しました。たとえば、テンプレートを使用すると、学習と認識のプロセスを3つのプロセス(画像処理、しきい値処理、バイナリ画像処理)に絞り込むことができます。プログラムは正常な部品と欠陥のある部品の画像からトレーニングデータを準備して合格/不合格の判断を下すことにより、自動的に学習し、進化します。
このシステムを部品の組立ラインでテストすると、検査用のコードを自動的に生成しほぼ100%の認識率を達成しました。

その結果、プログラムを開発する時間が80%短縮され、調整が行われても97%以上の認識率を維持しながら、同社の部品組立機が再学習できるようになりました。


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機械学習でファン化を進める?

お客様は多くの情報を持ち、膨大な選択肢から購入の意思決定をます。また、一度購入したから安心できるわけでありません。買い替え(リプレイス)の決断はとても早く、容赦なくやってきます。

しかし、ファンになってしまえばどうでしょうか?
一度ファンになると簡単には離れません。それどころか、他の製品も好きになってもらえるでしょう。

品質はそんなファンを作る大きな要因です。

まだまだ機械学習の活用は発展段階ですが、品質向上、維持のためのAI活用は順調に進んでおり、2025年までに4億1,820万ドルの年間収益を生み出し、アジア太平洋(1億3,380万ドル)と北米(1億1,710万ドル)が市場を牽引すると予測されています。

品質向上、維持のために当社でもAI・機械学習を活用したソリューションをご提案します。


アクセルユニバースの紹介

私達はビジョンに『社会生活を豊かにさせるサービスを提供する。』ことを掲げ、このビジョンを通して世界を笑顔にしようと機械学習・深層学習を提案しています。

  • ミッション(存在意義)
    私達は、情報通信技術を使って万物(全ての社会、生物)の暮らしをよりよくすることに貢献し、 それを加速させることを使命とします。

  • ビジョン(目標とする姿)
    社会生活を豊かにさせるサービスを提供する。

  • バリュー(行動規範)

    1. 変化を求め、変化を好み、変化する
    2. 自分の高みを目指してどんどん挑戦する
    3. お客様と一蓮托生でプロジェクトを進める


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