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廃棄物処理方法を変える、海外のAI活用事例

2020.02.12 竹中 涼香
利用事例 機械学習
廃棄物処理方法を変える、海外のAI活用事例

消費者や企業によって発生する廃棄物の処理・管理が課題として挙げられることが増えています。

包装材の削減などで最終的に発生するゴミの量が削減されてはいますが、ゴミの発生は無くなることはなく今後も少なからず発生します。
廃棄物の処理・管理は主に手作業で実施されていて膨大な労力とコストが生じています。これらの課題解決のためにAIが活用され始めています。機械学習、ディープラーニング、コンピュータービジョンなどのテクノロジーで、廃棄物管理の効率と生産性向上のためのソリューションが登場しました。

「ゴミ発生段階 / 収集中 / 廃棄物処理プラント」の3段階に分けて海外サービスを紹介します。


SMART WASTE BIN

ゴミ箱でゴミを識別し、種類ごとに分類します。

SMART WASTE BINはBin.e社によって開発されたシステムで機械学習でゴミ分類のルールを学習し、ゴミ収集前のゴミ箱段階で分類をおこないます。ゴミが捨てられる時に全ての分別がなされので廃棄物処理センターで大量の廃棄物を選別する必要がなくなります。

さらにシステムはゴミ箱がいっぱいになったことも検知し、収集スケジュールを無駄のないように最適化します。事前に決まっているスケジュールで収集トラックを発送する代わりに、ゴミ箱がいっぱいになった場所のみを訪問するように収集ルートを最適化します。これにより、人手不足であった課題が解消され、収集速度が向上し、人件費・燃料費も削減されます。

WASTE


Waste & recycling sorting systems(廃棄物およびリサイクル選別システム)

廃棄場で分類し、適切なゴミ処理をします。

ゴミ収集後に廃棄場で人が分別するのではなく、機械学習を使用して分別ルールを学習し、ゴミの種類に基づいて廃棄物を識別および処理します。様々なタイプの廃棄物の画像を大量に学習させることで、システムは廃棄物の分類を理解し、特定の特徴に基づいて学習したカテゴリーとゴミを一致させます。
人の業務をシステムが代わり、今まで悩まされていた人手不足や見落としを解消し、少ないコストで同じ業務をおこなっています。

2018年のWaste Expo conferenceにも出展した、Machinex社はリサイクルすべきカートン、プラスチックボトルを見つけるためにAIを活用しています。Machinex社によると、このシステムは毎分最大70回ピックします。それは人間の2倍の業務量で、イリノイ州の大手リサイクル会社であるLakeshore Recycling Systems社は同社のSamurAIを設置し、2人分の作業をAIが実施し年間約130,000ドルの削減に成功したと発表しています。

WASTE


GAIN technology

上記のようにゴミは収集の時点で分別されることが理想です。
しかし、全てのゴミを分別し切ることは難しく、収集後のゴミをリサイクル時に分別するAIが開発されています。

TOMRA社は、2019年にGAIN technologyを発表しました。リサイクルする上で廃棄物の純度を確保するにはカートリッジからシリコンを分離する必要があります。GAIN technologyはコンピューターセンサーを使用してポリエチレンストリームからポリエチレンシリコンカートリッジを取り外します。
何千もの廃棄物タイプの画像が与えられ、ディープラーニングを利用し分類する方法を学習しました。そのため、さまざまな種類のシリコンカートリッジ、ダブルカートリッジ、さらには変形または部分的に破壊されたカートリッジを画像を分けて訓練することなく識別できます。
TOMRA社によるとGAIN technologyはカートリッジの99%の排出を達成しています。

WASTE


効率の改善と人件費の削減

課題としてあげた「廃棄物の処理・管理には膨大な労力とコストがかかっている」ことの背景には労働人口の減少が考えられます。今後はエネルギー不足も課題となってくると予想できるため、限られたエネルギーを最適化していく必要が更に高まると想定されます。

今回紹介したゴミ・廃棄物処理方法は発生段階、収集中、更には廃棄物処理プラント...と全ての段階でより効率的な改善策の提案をしています。
機械学習、ディープラーニング、およびコンピュータービジョンテクノロジーの活用により廃棄物の収集・管理を効率的に実施することができ、労働力の削減、様々な人にとって働きやすい環境の構築を実現しています。


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