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技術ブログ
視線を読む!アイトラッキング活用事例
こんにちは。
今回は「アイトラッキング」について紹介します!
皆さんは「アイトラッキング」という技術をどのくらいご存知でしょうか?
「アイトラッキング」とは、人間の視線の動きを追跡・分析する手法であり、視線推定技術とも呼ばれます。
この技術により、これまで調査者側からではわからなかった被調査者の無意識の「本音」がわかるようになりました。
この記事ではそんな素晴らしい技術、「アイトラッキング」がどんな場所、場面で使われているのかを調査し、その可能性について探っていきます。
目次
1 なぜアイトラッキング技術?
2 アイトラッキング技術の活用
A マーケティング
B 防犯・事故防止
C ユーザーインターフェイス
D スポーツ
E 都市環境
F 学術・医療
3 まとめ
1 なぜアイトラッキング技術なの?
被調査者の意見を知りたいと思った時、例えば消費者に何か意見を求める時、アンケートやインタビューをしています。
しかし、これらは個人の意識が無意識で入り込んでしまうため、結果が正確であるとは断言できません。
とっさに見栄を張ってしまったり、質問者に求められている答えをしてしまったり(つまりは忖度ですね笑)、選択肢の番号の流れに乗って選んでしまったり...ということはないでしょうか?
アイトラッキング技術は被調査者の無意識の自然な目の動きを追うので、個人の意識的な介入が少なく、本音を読み取ることができます。
人は生活の中で自然と目を動かします。そこから得られる情報は、どんなものに目をつけたのか、何に興味を持ったのかなど、その人に関する詳細なデータです。
アイトラッキング技術はそれらの膨大な情報を読み取ることができ、それを分析し活用することができれば様々な分野で有効活用できるというわけです。
2 アイトラッキング技術の活用
アイトラッキングの技術は主に「業務効率化」のために利用されます。
ここでは各分野のアイトラッキング技術の活用事例を紹介し、今後の可能性について探っていきます。
A マーケティング
アイトラッキング技術はその特徴からマーケティングに活用されることが多いようです。
ここでは、顧客の注意や興味を知るためにアイトラッキング技術が使われています。
- 興味検知
スーパーではたくさんの商品が棚に陳列されています。
ある特定のものを買いたいとしましょう。
皆さんは何を基準に買う商品を決めますか?値段、ブランド、それともパッケージでしょうか?
アイトラッキング技術は、顧客が商品を決める時の目の動きに着目し、「誰が何に興味を示したか」だけでなく、一番初めに見た要素、一番長く見られた要素、頻繁に見られた要素、あまり見られなかった要素、また他の商品のどこと比較されたのかなどを明らかにします。商品を作るメーカーは、デザインを変えるのが良いか、だとしたらどんなデザインが良いか、値段は適正かなどを検討することができます。
また、店で商品を買う時、POPをみて興味を持ち、ついつい買ってしまった、または目につくところにあったから買ってしまった、なんてことはありませんか?
アイトラッキング技術を使うことで、効果的なPOP・広告作りや、効果的な売り場づくりを人の目の動きというデータに基づいて行うことができます。
これを真剣に行えば、売り上げアップが期待できそうですね。
B 防犯・事故防止
不審者検知
明らかに不審な動きをしている人を検知します。例えば、必要以上にキョロ キョロして周りを気にしていたり、監視カメラを必要以上に注視していたり...という人を認識します。
顔認証を組み合わせればホームセキュリティに応用できたり、動きまで認識できれば万引きなどの犯罪防止に役立つとでしょう。運転中の事故防止
近年では危険運転防止のため、ドライビングレコーダーの利用が増えています。ドライビングレコーダーは車の外側を見るものですが、ここでは車の内側を見ます。
運転者の視線を見ることで、運転中の意識喪失や居眠りの検知をしたり、運転中の脇見を検知することができます。これはもし事故が起こった時、過失なのか、故意なのか判定するのに役立ちます。
また、視線や顔の動きから運転を採点し、アドバイスしてくれる機能があったら楽しいですし、一方で、緊張感・危機感を持って運転できるかもしれません。
事故防止だけでなく、運転中の姿勢変化により発生する視線の動きを観察することで、疲れにくい車の開発にも活用されています。検査の見落とし防止
何かを検査する時、人間での検査だとら何かの拍子に見落としてしまうことがあります。視線を感知することで防止することが出来ます。見落としが起こった時にも、視線を確認することで何が起こっているか分析でき、再発防止に繋がります。
C ユーザーインターフェイス
- 操作パネルのデザイン検証
現在、何かサービスを受けるとき電子機器で操作が多くなりましたね。(例えば、飲食店の券売機、案内や空港での航空券発見など)。ちょっと見づらいなとか操作しづらいな、など感じたことはありませんか。
アイトラッキングの技術は、人の視線の動きやどこに長く注目しているか(興味を持っているかもしれないし、わかりにくくてずっと見ているのかもしれない)を読み取ることによって、消費者が電子機器端末を快適に使えるようにするためのきっかけを与えてくれます。例えば、効果的な電子メニューの配置や見せ方、視線の動きから好みを分析しリコメンド、デザインは適切かの検証などがあります。
D スポーツ
プロ選手とアマチュア選手の視線を認識し、何を見てどんな動きをしているか分析をすることで、良い動きを見極めるヒントになり、選手のレベルアップのために役立ちます。
他分野でも熟練技術者の技術の継承にも同じように役立てられます。
フィギュアスケートなどの一部のスポーツでは、演技の出来栄えを審判が決定します。アイトラッキング技術を用いることで、審判が何を見て、どんな基準で点数をつけているのかを明らかにし、より良い演技のために活用されている事例もあります。
E 都市環境
人々がより快適な生活を送るためにも役立てられています。
近年、日本の都市に訪れる、もしくは居住している外国人の方々が増加しています。彼らが国内を移動する際、きちんと地図を読めているのか、標識を認識しているのかなどを視線の動きから分析し、改善に役立てます。
また、避難訓練時に視線計測を行うことで、避難者にとって標識や案内が正しく、そしてわかりやすいものであるかを検証し、その結果をもとに改善をすることで効果的な標識のデザインや設置場所を検討することができます。室内でも避難誘導標識や消火器標識の設置位置が適切かどうかをあらかじめアイトラッキング 技術を用いて検証することで、非常時の被害を最小限に抑えることができます。
F 学術・医療
心理学や脳神経学において、人間の思考・言動における視覚情報の影響や、認知プロセスの究明に利用されています。また、医療の分野では眼球疾患や精神・神経疾患の研究にも利用され始めているようです。
3 まとめ
今回はアイトラッキング技術の活用事例とその可能性について紹介しました。この他にも、パソコンやゲームを視線だけで操作することもアイトラッキング技術を用いることでできるようになるようです。また、子供の学習時、どこをどのくらい見ているかを分析することで、優秀な子が何に着目するのかや、きちんと見るべきポイントを抑えられているのかを明らかにすることで、勉強時間からではわからない学習の詳細な部分が見えてくるでしょう。
ただ、アイトラッキングは技術にすぎません。得られたデータ、事実からその裏にあるもの(その行動の背景)について考えることが必要不可欠です。技術が進歩しても人間が考え、検証する必要があります。
アイトラッキング技術は今後ますます活用されていくでしょう。将来性があるので、今後ますます活用されていくのではないでしょうか。
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