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経済学で機械学習を活用する際の注意点
今回はデータを分析するという点で共通する経済学やデータサイエンスについて
概要を説明し、
経済学において機械学習を使うことの難しさについて説明します。
難しさと言っても、『活用できない』と否定をするわけではありません。
あくまでも活用していくことを前提に、気をつけたい点を紹介します。
目次
- 経済学とデータサイエンスについて
- なぜ経済学と機械学習が議論されるのか
- 経済学で機械学習を利用する際の注意点
- まとめ
経済学とデータサイエンスについて
そもそも経済学は、人がどんなものを買ったり、いくら貯金をするのかといった人の意思決定について仮説を立てて考えていく学問分野です。
分析する対象が人から、人が集まった国になれば、ニュースなどで見るGDPや為替といったテーマを扱います。
このように経済学が扱うテーマは幅広く、企業の経営課題や医療など多岐に渡ります。
近年はコンピューターが進化し、以前よりも多くのデータを扱えるようになったため、経済学的な仮説のモデルを実証分析するために統計的なアプローチからパラメータの推定、検証を行う計量経済学という分野が発展していきました。
このような流れから、経済学の中にデータドリブンな考えが入ってくることで、データから未来の行動を連想することが必要とされています。
ここで機械学習を使ったデータサイエンスが想起されます。
集めたデータに対して、機械学習という統計的な手法を使い、未来の予測や分類を行います。
扱うテーマは広く、例えば、企業が持っているデータから課題を解決したり、医療データを使ったデータ分析も行われています。
若干の違いはあるものの経済学とデータサイエンスは、扱うテーマが近しく、経済学の分野でも機械学習を取り入れることが議論されています。
なぜ経済学と機械学習が議論されるのか
経済学は前述のように、人が関わるテーマを幅広く扱います。
機械学習では、今まで手に入らなかったビッグデータのような大量のデータを分析に使えるようになり、経済学でもそれまで使っていなかったデータで実証分析しようという動きがあります。
機械学習での予測や分類が、マーケティングや株価トレードなど経済学の分野の実用に結びつきやすかったためです。
そのため経済学的な仮説をビッグデータで実証分析する際に、計量経済学ではなく機械学習を使うアプローチが議論されました。
実際に『経済セミナー』(日本評論社、2019)でも「機械学習は経済学を変えるのか?」という特集が組まれています。
経済学で機械学習を利用する際の問題点
しかし、こうしたアプローチには問題点も存在します。
経済学は前述のように仮説ベース、モデルベースで考えることが多く、実証分析の前にあらかじめ説明変数等を理論から考えることが主流です。
しかし、機械学習は特徴量(説明変数)を自由に決め、精度の高さを追求するアプローチが主なものになっています。
両者の考え方がかなり異なっており、機械学習で発見した結果を経済理論で解釈する時点で、機械学習特有の、新たな発見は失われてしまう可能性があります。
また経済学の多くの目的が、予測ではなく「なぜそうなるのか」といった因果推論をおこなってきたため、結果の解釈を説明するのが苦手な機械学習とは、もともと相性が悪い点も無視できません。
まとめ
以上のように、仮説ベースの経済学において機械学習を使う際は、両者の考え方の違いから機械学習のもつ利点を無くしてしまったり、経済学的に解釈できないといった問題が考えられます。
そのため経済学の分析で機械学習を分析につかう際は、こうした側面があることをしっかり認識したほうが良いでしょう。
※今回は広く経済学と機械学習の考え方を説明し、応用の難しさを説明しましたが、その上で機械学習を経済学分野で応用する例は近年増加しています。
参考文献
与田高典「経済分析ツールとしての機械学習」『経済セミナー』、
2019年2020年12月号1月号、23〜27ページ
今泉允聡「機械学習はデータを解釈できるのか?」『経済セミナー』、
2019年2020年12月号1月号、34〜39ページ
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