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三宅島25時間滞在記
みなさんこんにちは!
久しぶりに海と山と温泉を満喫したいと思い立ち、先日、三宅島へ行ってきました。
三宅島を選んだ理由は、まだ行ったことがない島で、かつ出発前日でも宿や船のチケットが予約できたためです。
三宅島ってどんな島?
基本情報
- 東京から南へ約180kmの位置にある東京都の島(車は品川ナンバー)
- アクセス方法は、調布飛行場から飛行機で50分、東京竹芝桟橋から船で5時間30分
- 島の大きさは山手線の内側と同じくらいで、島1周は約30km
- 過去100年間に噴火活動が4回(1940年、1962年、1983年、2000年)発生し、2000年の噴火では4年5ヶ月間全島避難していた
観光情報
- 火山島ならではの地形(溶岩流跡や噴石丘・スコリア丘)を観察できる
- 幹周り5mを超える巨樹が3千本以上残っており国内最大級の巨樹(幹周り約19m)がある
- イルカで有名な御蔵島に近いので、野生のイルカと一緒に泳げるツアーがある
- スノーケリングポイントでは日本最北端とされるテーブルサンゴの群生が観察できる
- ナトリウム塩化物泉の日帰り温泉がある
22:30 東京竹芝桟橋から出港
今回は、船で三宅島に向かいます。
船の客室は予算に応じて「個室」「2段ベット」「大部屋」と大きく3つから選べます。私は、カーテンを引くと個室になる「2段ベット」の客室を利用しました。
船内施設には、洗面所、水洗トイレ、シャワールーム、レストランの他、自動販売機(飲み物・パスタやドリアなどの冷凍食品・お菓子・カップ麺・アイスクリームなど)もあり、快適に過ごせます。
船内で面白いと思ったことは、船の揺れ対策であらゆるものが固定されていることです。椅子やテーブルやゴミ箱など動いたら困るものは全て床に固定されており、トイレの扉は堅い磁石で固定されていて引き剥がすのに結構力がいります。
東京湾のコンテナ埠頭や羽田空港の夜景を海側から眺められるのが船に乗る醍醐味のひとつです。
5:00 三宅島に到着
三宅島の「錆ヶ浜港」に到着しました。
三宅島には港が3ヶ所あり、当日の風向きや海況によってどの港に着岸するかわかりません。どの港に着いても必ず早朝バスがあるので、そのバスで島の各所に行くことができます。
島に到着後、最初に訪れたのが「火山体験遊歩道」。
ここは1983年の噴火で阿古地区の一部が溶岩流に飲み込まれた場所の上に整備された遊歩道です。
小学校に溶岩流が流れ込んだところが現在も残っており、写真は校舎の3階部分(音楽室や図書室など)を撮影したものです。中にあった図書やグランドピアノは、奇跡的に無事だったそうです。
また、校舎によって溶岩が堰き止められたことで、最大で約10メートルもの溶岩が堆積したとされています。幸いにも人的被害はなかったとのことですが、噴火の脅威を目の当たりにしました。
9:00 島1周へ出発
今回は観光案内所で自転車(電動アシスト付き)をレンタルして島を1周します。
最初に向かったのは「七島展望台」です。展望台に辿り着くまでの1時間、標高差500mの6kmの道のりは電動アシストがあっても大変でした。上り坂かつ向かい風で心が折れそうになりましたが、ふと立ち止まって後ろを振り返ると海の向こうに御蔵島が見え、島ならではの景色に、辛さも一瞬だけ忘れることができました。
写真撮影だけして急いで撤収しました。
七島展望台から望む写真中央の「雄山(標高775m)」は、2000年の噴火で世界で初めて陥没カルデラ形成過程が目撃された学術的価値も高い火山だそうです。
火山性ガスの影響でカルデラ付近は村の条例で立ち入り禁止になっており、残念ながら近くでカルデラを見ることはできません。三宅村が主催している雄山体験入山ツアーに申し込むと、現地のガイドさんと一緒に火口100m手前までの体験入山ができるそうです。
展望台からの下りは両手でブレーキを握りしめ続ける区間が続き、腕力が試されているようでした。(下りの間、ずっとブレーキの高音が鳴り響いていました。)
下りの途中で立ち寄ったのが坪田地区の巨樹の森です。2000年の噴火で島全体の6割の樹木が消失した中、この地区は噴火の被害を免がれ、樹齢500年以上の巨樹が多く残っている場所です。
中でも幹回り19.27m のスダ椎はかなり迫力がありました。(ちなみに屋久島の縄文杉は幹回り16.10m)
この木を見に行くためには山道に入りますが、島には熊や猪、蛇などが生息していない点は安心です。
12:00 海岸と溶岩地帯
森を抜けて海沿いに出ると景色がガラッと変わり、過去3000年分の地層が観察できる長太郎池という海岸や、柱状節理が見られるサタドー岬が印象的でした。
この写真では分かりずらくてすみません...
島1周道路をしばらく進むと、1940年と1962年の噴火で形成された溶岩流地帯に入ります。三宅島は玄武岩質の黒い溶岩で、粘り気が弱く裾野の広いなだらかな斜面が続いています。一方で、三宅島の近隣の島々(神津島、新島、式根島)は流紋岩質で粘り気が強く、急峻な断崖や、白い砂浜が特徴的です。お互いに見える距離同士にある島でも景色が全く違うのはとても興味深いです。
15:00 伊豆岬
島1周に出発して6時間が経過し総移動距離は35kmを超え、電動アシスト自転車とはいえ流石に疲れてきました。
伊豆岬に立ち寄るには、島1周道路から外れてかなりの下り坂、つまり帰りは上りが待っている...。火山と灯台のある岬が数百mの平坦な道のりでつながっているのは、某夢の国だけだと思いました。でも、せっかく島にきたので、強い決意で急坂を下って伊豆岬に立ち寄りました。
伊豆岬は、江戸時代に三宅島に流罪となった人々がここから江戸や故郷を偲んだことが名称の由来だそうです。
写真では分かりづらいですが、灯台の右側には利島、左側には新島と神津島が見え、新島の「白ママ断崖」と呼ばれる真っ白な斜面を見ることができ、足を運んだ甲斐がありました。帰りの上り坂は、バッテリー充電が残り僅かの電動アシスト自転車に助けられました。
17:00 温泉へ
予定通り17時に島1周を終えてレンタル自転車を返却しました。島の各地点に立ち寄りながら1周した結果、所要時間約8時間、総移動距離約50km、累積標高差は1562mでした。
1日の締めくくりは温泉です。海に沈む夕日を眺めながら温泉に入っていると、地元の方々の会話が聞こえてきます。
「最近、明日葉に肥料*をちゃんとやってないから、昨日やっとかき揚げにできる量が採れてね、、、...。明日の船は欠航だってね...」
「えっ欠航...!?」不安になって急いでスマホで運行状況を確認すると欠航にはなっていませんでした。ひと安心してゆっくり温泉に浸かった後、今日の宿に向かいました。
19時ごろ宿に到着すると、宿の方に「明日帰るなら朝5時に港に行かないと帰れないよ」と言われ唖然としました。予定では翌日13:30発の船で帰るはずでしたが、遥か南で発生した台風の影響で、13:30発の船が朝6:00に繰り上げ出港になっていたのです。
海況次第では船が島の近くまで来ても着岸できず引き返してしまうこともあるとのことで、また島から帰れなくなる*かもと思うと不安になりましたが、疲れていたのですぐに眠りに落ちました。
5:00 錆ヶ浜港へ
セットしていたアラームが鳴る前に、島の防災無線放送の音で目が覚めました。朝4時に外のスピーカーから着岸する港の情報などが放送され、宿から近い錆ヶ浜港からの出港と分かりました。
まだ辺りは真っ暗の中、歩いて港に向かうと朝5時の待合所には乗船予定の人たちがたくさん集まっていました。私は、船が引き返さず港に着岸してくれることをひたすら祈り続けながら、海の遥か遠くに見える明かりを灯した船を見守っていました。
船を見守ること約30分、5時半過ぎに無事に船は着岸しました!!が、しかし...停泊している大型客船が信じられないほど大きく左右に揺れています...(泣)
6:00 錆ヶ浜港から出港
無事に三宅島を出港しましたが、大きく揺れる船内で程なくして気持ち悪くなり、愛用している酔い止め薬を飲んで眠りに落ちました。そして、目が覚めると東京湾の海ほたる付近まで戻ってきており、13時に竹芝桟橋に到着しました。
船の欠航により三宅島の滞在時間は25時間と短くなってしまいましたが、充実した島旅でした。(島1周しているときに翌日買おうと思っていたお土産などを買いそびれてしまったのが心残りです...)
三宅島は「島全体が火山博物館」と謳われている通り、島内の各スポットに設置されている看板の説明を読みながら、地層や地形、溶岩の実物をその場で観察することができてとても楽しかったです。興味を持ってくださった方は是非三宅島に足を運んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!