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非エンジニアでもできる!Microsoft Copilotを利用した業務改善入門
目次
- はじめに
- プロジェクトの概要 ― 障害対応を生成AIで効率化する
- 全体の構想 - PowerAutomate × Copilot Studioによる自動化
- 実際に構築したフロー - Microsoft 365 Copilotでできること
- 振り返りと教訓
- おわりに
1. はじめに
2026年現在、生成AIサービスは目的や専門性に合わせて非常に多くの選択肢がありますが、その中でも、Microsoft Copilotは比較的、大企業に選ばれている印象があります。
本記事では、筆者が生成AIを活用したPoCの開発支援に携わった経験をもとに、Microsoft Copilotを利用した業務改善の一例を紹介します。当該プロジェクトにおいては、技術全般のサポートという役割で参画しました。全体の開発方針を考えたり、メンバーが開発で詰まりそうな箇所を先回りして技術調査したりといった裏方の立場です。直接開発を行ったのは先方のメンバーであり、非エンジニアのチームが主体となってPoCを推進したプロジェクトでした。
このプロジェクトでは、まずCopilot単体で実現できる機能を追求し、十分に実用的な仕組みを構築することができました。本記事の内容が、少しでもご参考になれば幸いです。
2. プロジェクトの概要 ― 障害対応を生成AIで効率化する
今回のPoCで対象としたのは、システム障害発生時の初動対応です。
多くの企業では、システムに障害が発生すると監視ツールなどから障害通知メールが届きます。担当者はそのメールの内容を確認し、障害の概要を把握したうえで、過去の事例やドキュメントを参照しながら発生原因を推測し、対応策を検討します。この一連の作業は、経験豊富な担当者であればスムーズに進められますが、経験の浅いメンバーにとっては時間がかかり、対応の遅れにつながることもあります。
そこで本PoCでは、障害通知メールの内容を生成AIに読み込ませ、以下の情報を自動的に生成させることを目指しました。
- 障害の概要(何が起きているかの要約)
- 想定される発生原因
- 推奨される対応策
これにより、経験の浅い担当者でも迅速に初動対応の方針を立てられるようになり、チーム全体の障害対応スピードの向上が期待できます。
3. 全体の構想 - PowerAutomate × Copilot Studioによる自動化
当初描いていた理想のフローは、障害通知メールの受信から対応策の共有までを、人手を介さずワンストップで完結させるものでした。具体的には、以下のような構成を想定していました。
【当初構想のフロー】
障害通知メール受信
↓
PowerAutomate(トリガー:メール受信)
↓ メール本文・件名などを抽出
Copilot Studio(生成AI処理)
↓ 障害概要・原因・対応策を生成
Teams(結果を通知)
まず、障害通知メールの受信をPowerAutomateのトリガーとして設定します。PowerAutomateがメールの本文や件名といった情報を抽出し、Copilot Studioへ連携します。Copilot Studioでは、あらかじめ設定したエージェント設定に基づいて、障害の概要や発生原因、対応策などを生成します。最後に、その生成結果をTeamsのチャネルへ自動投稿し、関係者全員がすぐに確認できる状態にします。
この構成が実現できれば、障害通知メールを受信してから対応策がチームに共有されるまでの流れがすべて自動化され、担当者は生成された対応策を確認して実際の対応に集中するだけで済みます。PowerAutomateとCopilot Studioの組み合わせは、Microsoft 365のエコシステム内で完結するため、追加のインフラ構築も不要であり、非エンジニアにとっても取り組みやすいアプローチとなっています。
4. 実際に構築したフロー - Microsoft 365 Copilotでできること
まずはCopilot Chatを使用して目的の情報取得を実現するために、以下のようなフローを構築しました。メールの取り込みは手動で行いますが、生成AIによる障害分析という核心部分はしっかりと実現できています。
【実際のフロー】
障害通知メール受信
↓ (手動)担当者がメール内容をコピー
Copilot Chat(生成AI処理)
↓ 障害概要・原因・対応策を生成
担当者が結果をもとに対応を実施
ステップ1:SharePointへのドキュメント格納とナレッジ登録
まず、事前準備として、障害対応に必要な資料やドキュメントをSharePointに格納します。たとえば、過去の障害対応履歴やサーバー管理台帳などが該当します。
次に、Copilot Chatのナレッジ設定で、これらのSharePoint上のドキュメントを参照先として登録します。これにより、Copilotは汎用的な知識だけでなく、自社固有の情報も踏まえた回答を生成できるようになります。
ステップ2:障害通知メールの内容をCopilot Chatへ入力
障害通知メールを受信したら、担当者はメールの本文をコピーし、Copilot Chatに貼り付けます。あらかじめ設定したエージェント設定をもとに、回答が生成されます。
ステップ3:生成結果をもとに対応を実施
従来であれば過去の資料を一つ一つ探し、経験と勘に頼って対応策を考えていたプロセスが、Copilot Chatへの入力ひとつで大幅に効率化されたことは、大きな前進です。
5. 振り返りと教訓
プロジェクト全体を振り返り、特に重要だと感じた教訓を共有します。
情報システム部門の協力は必須
ライセンスの管理や社内のITポリシーに関する判断は、情報システム部門の管轄であることが一般的です。 今回、業務部門のメンバー中心のプロジェクトで、先方の情報システム部門の担当者がプロジェクトに参加していなかったため、ライセンスやアクセス制約の確認が遅くなりました。
今後、同様の開発支援型プロジェクトに携わる際には、プロジェクトの初期段階で先方の情報システム部門の担当者をメンバーに加えていただくことを強く推奨するつもりです。
「完璧」でなくても価値は出せる生成AIサービスの強み
今回のPoCでは、一部分の実現のみとなってしまいました。しかし、手動のステップが入ったとしても、生成AIを活用した障害分析そのものは十分に機能し、従来の対応プロセスと比較して明確な効率化が達成できました。試験的に本PoCを実運用で取り入れたところ、一次切り分けにかかる時間は約80%削減し、目に見えるほど対応品質の安定性も向上したようです。
本件の事例がすべてのプロジェクトで当てはまるというわけではないですが、単体でも十分に既存業務の効率化を果たし得る生成AIサービスに対して改めてポテンシャルの高さを感じました。いまひとつ生成AIサービスの利用に二の足を踏んでいる企業様においても、カジュアルに試すことができるのは大きな魅力の一つだと思います。
6. おわりに
本記事では、Microsoft 365のCopilot Chatを活用した障害対応効率化のPoCについて紹介しました。
当初の理想であった完全自動化こそ実現できませんでしたが、一部分の実現であっても、生成AIを活用した業務改善は十分に可能であることを実感しました。SharePointにドキュメントを格納し、Copilot Chatのナレッジとして登録するだけで、自社の業務に特化した生成AIを構築することができます。この手順自体は、エンジニアでなくても十分に実行可能です。
まずは身近な業務課題をひとつ選び、Copilotに相談してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。