2020年7月アーカイブ

貴社のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、もうお済みでしょうか..?

経産省が警鐘をならす「2025年の崖」。

既にご存知の方も多いと思います。

昨今、企業活動とITが密接に関連する状況において、当該レポートは全ての企業様にとって他人事ではない内容であるように思えました。

あらためて経産省の発表内容を振り返るとともに、本記事が企業様の次の意思決定・行動のリマインドとなれば幸いでございます。


経済産業省からの警鐘

2018年9月に経済産業省から「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」というレポートが発表されています。

※「経済産業省Webサイト」へのリンクは こちら

このレポートを読むと、大きく2つの内容が語られていると解釈しました。

1)レガシーシステムに起因し、各企業のシステム障害リスクが増加。
  2025年以降、国内のシステム障害による経済損失が 最大12兆円/年の発生する可能性がある。

2)レガシーシステムは、システム障害リスクの要因となるだけではなく、各企業の将来の成長・競争力強化のためのDX
 (デジタルトランスフォーメーション)を実現する妨げにもなっている。


着目すべきは、クラウドやAI、IoTといったデジタル技術の積極採用だけではなく、既存のシステムがレガシー化していないか?また、レガシー化している場合はそれらの対処は大丈夫か?といった、足元に対して警鐘を鳴らしているという点だと感じました。既存システムがレガシー化している場合、既存の環境を維持するだけでも企業にとって大きな損失を招く可能性があるということを示唆しています。

貴社のシステムは、大丈夫でしょうか??


レガシーシステムとは..?

レガシーシステムという言葉の定義を整理すると、
「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」のことと記されています。

・技術の老朽化 とは..
システムの仕様や使用している技術を把握している人材がリタイアし、メンテナンスのスキルを持つ人材の枯渇が危惧される状態

・システムの肥大化・複雑化 とは..
過剰なカスタマイズが積み重なることで、システム全体の規模が膨らんだり内部のロジックが複雑になっているといった状態

・ブラックボックス化 とは..
技術の老朽化とシステムの肥大化・複雑化が重なり、システムの全貌と機能の意義が分からなくなっている状態


今回の警鐘をうけとめ、まずは企業様内で上記のような事象が発生していないかどうか、発生している場合それはどの程度の規模なのか、早期に確認を行うことが必要と感じます。

ある日突然、いつも使用しているシステムがダウンしたら..、そのダウンしたシステムがレガシーシステムであったら..
復旧にどれほどの時間と労力が必要となるのか..(そもそも、復旧が可能なのか..)復旧までの期間事業に与える業務のインパクトと損失はどの程度になるのか..この記事を読まれた企業様では、このような状況にないことを祈るばかりです。


DX(デジタルトランスフォーメーション)とは..?

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉の定義についても整理してみたいと思います。

・DXという言葉の発祥
2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱されたと言われています。
DXとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を示すようです。

概念であるためか、この段階で具体的なアクションへ落とし込むのはかなり難しいように感じます。

・経産省による定義
経産省は、DXという概念を日本向けにもう少し具体化しており、「 DX 推進ガイドライン 」 の中で以下のように定義付けています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

※経産省の「DX 推進ガイドライン」は こちら

どのような状態になることをDXというのか、それが定義されたことで言葉の意味が具体的になったと感じます。 新時代(新しいルール)へアジャストしていくため、更には新時代でも競争上の優位性を確立していくために、既存の破壊と再構築を視野に入れた変化の取り組みこそがDXだと。そして、レガシーシステムに対する対策だけではなく、このDXを積極的に進めていくべきであると、記載されています。


レガシーシステムの問題点を解消し、企業でDXを推進するための方法とは..?

レガシーシステムの問題とDXに関して、重要であることのイメージをなんとなく持っていただけたかと思います。
一方で、DXの実現は非常に困難であると感じられた企業様も少なくないのではないでしょうか?

経産省のレポートでは、どのようにDXを進めていけばよいか、ガイドラインを示しています。(後述の図1、2)
しかし、各社状況やスタートラインが異なっているため、現実的には安易ではない取り組みになるかと思います。

ただ、困難を困難のままにしてしまうと、それ以上前に進みません。
困難な事をどうやったら実現できるか、問題を解ける状態に分解しながら進めていくことが重要であると考えます。

そのファーストステップは、やはり「現状の可視化と将来に起こり得る事象への定量的なシミュレーション」ではないかと考えます。
今が把握できて、将来の危惧or飛躍を定量的に語れるのであれば、経営陣/現場ともにそれを回避・改善or推進・支援する方向に動こうとなるのではないでしょうか?また、そのような協力を促す説得力のある材料になるのではないでしょうか? (進行方向に崖があるにもかかわらず、昨日までと同じルートと歩き方にしがみついく人がいたのであれば、それは違った意味で危機ですが..)

現在地がわかり、目的地が決まる、その差を埋める行動をNext Actionとする。Next Actionも重要度や影響度から優先度をしっかりと持ち、濃淡を付けて計画的に進めていく..そんな動き出しが必要と考えます。


図1
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
出典:「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(経済産業省)


図2
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
出典:「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(経済産業省)


AUCがお手伝いできること

(最後は露骨な宣伝となってしまいますが..)

通常業務と平行してレガシーシステムの対応やDXの推進を行っていくのは至難の業である思います。
また、専任の採用もすぐには難しい対応であると思います。

現状の可視化や今後の展望の検討支援、具体的なシステム開発やインフラ開発とその保守運用。機械学習の企画〜PoC〜システム実装など..弊社がお手伝いできる色々なシチュエーションがあると考えております。

DXがまだお済みでなく、これから本格的に進めていこうとしている企業様、弊社サービス概要ページのリンクを添えておきますので、興味をもっていただけましたら、お気軽にお問合せください。

※「ITコンサルティングサービス」ページは こちら

※「新規Webサービスの構築」ページは こちら

※「クラウド構築・運用保守」ページは こちら

※「お問い合わせ」ページは こちら

このブログはそもそもパラメータという言葉をよく耳にするが、どのように決定しているのか知りたい人(機械学習の初歩的な数学の理論を知りたい人)向けです。少し数学的な計算も入ってきます。

学習とは、仮定から導き出した誤差関数を最小に,あるいは尤度関数や事後分布を最大にするパラメータを求めることでした。そのうち今回は尤度関数と勾配法について説明していきたいと思います。

パラメータとはどういう設定値や制限値で機械学習の予測モデルを作るのかを示すものです。イメージとして、あとで定義する尤度関数が下のグラフのようになっている時、尤度関数の最大値を取るθを求めるという作業です。

download.jpg

目次

  1. 最尤推定法

  2. 勾配法

  3. 最尤推定法と勾配法の問題点


1.最尤推定法

確率分布は既知ですが、ある母数(パラメータθ)が未知な母集団を考えます。

この場合、この確率分布が連続型であるならば、確率分布はθに依存する関数と考えられ、f(x,θ)と表します。

この母集団から独立にn個標本を抽出した時のデータがx1,x2,....,xnの値をとる確率は、L(θ)=f(x1,θ)f(x2,θ)....*f(xn,θ)と考えられ、L(θ)を尤度関数といいます。

まず具体例を見てみましょう。

正規分布の平均、分散の最尤推定

X~N(μ,σ^2)とします。(N(μ,σ^2)は平均μ、分散σ^2の正規分布)

すると以下のように平均と分散の最尤推定値が求められます。
正規分布の確率密度関数を以下のように与えられます。

正規分布1-1-1.png

(x1,.....,xn)というデータが与えられたとすると、尤度関数は次のようになります。

正規分布1-2.png

なので両辺に自然対数を取ると、以下のように対数尤度関数が導かれます。

正規分布1-3.png

これから平均μを最尤推定法により推定します。対数尤度関数をμに関する関数と見て偏微分し、その結果が0となる値を求めます。

正規分布2.png

次に、分散σ^2を最尤推定法により推定します。対数尤度関数をσ^2に関する関数と見て偏微分し、その結果が0となる値を求めます。

正規分布3.png

以上が最尤雨推定法の概要です。


2.勾配法

勾配法は最小値や最大値を求めるためのアルゴリズムで、解析的に解くことが困難な問題に用いられます。

「解析的に解けない」とは、ある関数に対してうまく微分ができない状態や実際に数値として表すには禁じせざるを得ない状況のことです。

勾配法は解析的に解くのが困難な時に有効なアルゴリズムで、最適化問題などに用いられます。 具体的な方法を解説していきます。

  1. 適当に初期点を決める

  2. 今いる位置における関数の値が最も小さくなる方向を計算する

  3. その方向に微小単位で移動する

その後は、2,3の手順をひたすら繰り返し、収束した場合、この繰り返しを終了します。

download.png

この例は解析的にも解けますが、勾配法を使って説明するとまずはじめにx0という点を初期値として選択します。

次に、今いる位置における関数が小さくなる方向を計算します。これは図からわかる通り、x1の方向に近づく方向になります。

ここからは今までの操作の繰り返しです。

すると、図からX*という点で今まで同様左側に移動すると関数の値が大きくなってしまいます。

つまり、図の範囲でパラメータとして最も良いものはx*ということになります。


3.最尤推定法の問題点

データ数が少ない時に偏りがあることです。

この例としてコインの裏表を3回投げるという試行を考えます。 もし、表が三回連続で出てしまった時、表の出る確率は最尤推定法で求めると1となりますが、本来表の出る確率は1/2であるはずです。 これがデータ数が少ないことによるパラメータの偏りです。

サンプルから構造を推測する モデルにおいては適していません。

例えば、混合正規分布、混合2項分布、神経回路網、ベイズネットワーク、 隠れマルコフモデルなどのもウール構造を持つモデルについては最尤推定法は適していません。 つまり、「尤度関数が最尤推定量の近傍でだけ 大きな値になる」という条件が最尤推定が安全に使えるための条件です。

また、尤度関数は常に解析的に解けるものではないので、最尤推定以外の方法でパラメータを求める必要があります。(勾配法など) 必ずしも全ての試行が確率分布に従うとは限らず、確率密度のある点における接線の傾きを測る勾配符が用いられるケースがあります。

このアーカイブについて

このページには、2020年7月に書かれた記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2020年6月です。

次のアーカイブは2020年8月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。